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刺青物語〜蓮の花のように〜





刺青物語〜蓮の花のように〜
は、以下をお読みください。


http://tuzurukotoba.jugem.jp/?eid=879

その日の朝は
とっても寒かった。

脂肪のないやせ細った彼女の体に
寒さがこたえるのか
防寒対策には余念がない。

「両親に会ってきた。」

うつむき加減で口をへの字に曲げ
Rさんが作業場に入ってきた。
いつものように
作業を進めながら話を聞いた。

「母親、ずいぶん弱ってました。
 憎まれ口のひとつでも
 聞かさせるかと思ったけど
 なんか、拍子抜けした。
 それでも、なんや言わんでええこと
 ごちゃごちゃ言うから
 疲れた・・・
 ちょっと痴呆が入ってるみたいや。

 父親は、相変わらず
 訳の分からんこと言うてた。
 私の名前呼んだりして。
 ほれでもやっぱり・・・
 嬉しかったんかなぁ〜。。。」

そう教えてくれたRさんに

「そうですね、嬉しかったんでしょうね。」

と、彼女の決断をねぎらおうと
言葉をかけた。

そのあとRさんの口から
せきを切ったように
過去の辛かった思いがあふれだした。

そして
どうしても、母親への憎しみが消えないと
涙を流し、打ち明けてくれた。

愛されたかった切なさと
愛してもらえなかった深い悲しみ。

久しぶりに母親に会い
封印していた憎悪の感情が
彼女の心に蘇ったのだろう。

その感情を握りしめているままでは
Rさん自身が、この先も辛いまま
人生を生きていかなければならない。

どんな憎しみの念を他人に向けようと
それは、巡り巡って
自分の所へ帰ってくる。

私は、Rさんに
今ある幸せを感じて欲しいと
心から願った。

「今日は特に痛いなぁ〜・・・。」

丁度、彼女の苦手な
足の付け根の部分に差し掛かった頃

自分の弱い心をごまかすかのように
Rさんがつぶやいた。

時々彼女は、声にならない声で
「うぅ〜〜〜っ!!!」
と、痛みをこらえていた。

私の作業の手元を照らす
電気スタンドの柄を握りしめて。

その光景がまるで
お産をする妊婦さんのようで

「ハイRさんっ!いきんでぇ〜〜〜!!!
 頭が見えてきてますよぉ〜〜〜!!!」

と、冗談を言うと

痛みに集中し
呼吸するのを忘れていたRさんが
止めていた息を一気に吐き出し

「がははははっ!!!」

と、大きな声で笑った。

「先生、笑かさんといて下さい。
 力、抜けますやん。」

笑い過ぎて出た涙なのか
さっきの涙の延長なのか
それを拭っている彼女の顔を見ながら

「はい。力抜いといてくださいね。」

と、にっこり笑うと

「意地悪やわぁ〜」

と、彼女もまた笑った。

「先生、背中の色の
 タッチアップの時なんやけど
 他にも彫りたいなぁ〜って思ってる。
 ちょっとさみしいやろ?
 隙間が空いて。」

少しづつ、少しづつ
刺青の入ってない空間を埋めたくなる
彼女はまさに
刺青マジックに、はまってしまった。

「図柄は何がいいですか?」

「以前は、彫豊先生に任せたんやけど
 鳳凰は、私を表してると思ってるんよ。
 やから、鳥は一匹でええわ。
 三匹の龍は
 なんか私を守ってくれてる感じかな。」

人間なんて大嫌い。
そういつも言っている
彼女の言葉とは裏腹に

彼女には、たくさんの支援者がいた。
愛する娘さんはもちろんのこと

遠く離れた北海道に
毎日のように電話でやりとりをする
親友もいた。

近くには、彼女の身を案じ
日曜になると顔を出してくれるという
幼なじみの同級生のNくん。

また、歳は違うが地元の友人の
ガソリンスタンドを経営する
I社長という方が
親身になって
彼女をサポートしてくれていた。

「そうですねぇ。足に蓮の花を入れたんで
 背中にも蓮の花を散らして
 統一感をだすとか・・・
 渦や雲をいれて
 背景を少し埋めていったら
 綺麗やと思いますよ。」

「それいいね!
 じゃぁ、それでお願いします!。」
 
つづく



 
| 心の言葉〜刺青編〜 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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